特集 小外科・外来処置マニュアル
Ⅱ.頭部・顔面・口腔・咽頭
20.眼外傷,眼窩骨折
矢部 比呂夫
1
Hiroo YABE
1
1東邦大学医学部第2眼科
pp.69-71
発行日 2004年10月22日
Published Date 2004/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100796
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眼外傷の緊急度
眼科救急外来を訪れる患者のうちの大半を占めるのは外傷性疾患であるが,実際にはコンタクトレンズによる角膜上皮障害などの軽微なものがほとんどである.しかし,一部の症例は初期治療が視力予後を左右するような緊急性が高いものもあるので,疾患の緊急度に応じた対応が必要である(一部は外傷以外の疾患を含む)1).
1.数分以内に治療が必要な疾患
眼化学傷,網膜中心動脈閉塞症
2.数時間以内に治療が必要疾患
穿孔性眼外傷,眼球破裂,眼内異物,角結膜異物,眼瞼裂傷,急性閉塞隅角緑内障
3.数日以内に治療が必要な疾患
涙小管断裂,眼窩底骨折,裂孔原性網膜剥離
医療高次レベルへの患者搬送の判断
つぎの場合は,医療高次レベルの二次,三次の救急医療施設への転医・搬送を検討する必要がある.高度の眼瞼裂傷,眼球破裂,眼球あるいは眼窩内異物,化膿性眼内炎など.また,一次救急処置で創を縫合した場合でも,二次的に網膜硝子体手術が必要な場合なども検討する.搬送上の注意としては,眼球破裂がある場合には眼球保護帯を用いて眼球が圧迫されないようにする必要がある.眼瞼裂傷の場合は出血を伴うことが多いため,ガーゼで圧迫して止血する.
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