特集 Sentinel node navigation surgery―新たなる展開
International Sentinel Node Society(ISNS)の設立と今後の展望
北島 政樹
1
,
北川 雄光
1
Kitajima Masaki
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.529-533
発行日 2004年5月20日
Published Date 2004/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100613
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Sentinel node(SN)とは,腫瘍から「最初の」リンパ流を受けるリンパ節であると定義されてきた.しかし,この定義では「最初の」=「ただ1つの」という連想を生じ,誤解を招きやすいことが指摘され,腫瘍から「直接の」リンパ流を受ける1つないし複数のリンパ節と定義されるようになった.まずはその定義から述べたが,もはや今回のような特集に際して,SNの定義から解説する必要もないほど多くの学術集会や学術誌にトピックとして取り上げられている.
ここ数年のこの傾向は,これまで画一的に行われてきた固形癌の外科治療の「低侵襲化」「個別化」を実現するために有用な手段としての期待が大きいことの現れであろう.今日ではメラノーマ,乳癌など一部の体表悪性腫瘍に限られた手法との認識は変化し,多くの固形癌への応用が検討されている.一方,この理論に関するエビデンスの蓄積,臨床的意義に関しては各臓器によってさまざまな状況にある.本特集では,それぞれの領域の最新情報がレビューされている.
SN理論は,外科治療の個別的低侵襲化のための手段という側面だけでなく,SNを舞台とした転移形成過程や局所免疫防御機構の解明に向けた素材としても注目されはじめている.こうした状況を反映してInternational Sentinel Node Society(ISNS)が2002年に国際的学術団体として設立された.本稿では,これまでのSN研究の歴史からISNS設立までの経緯をたどり,今後の展開についても言及する.
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