Japanese
English
脳・脊髄のMRI画像アトラス
両側突発性難聴で発症した多発性脳塞栓症の1例
Multiple Brain Embolisms with Bilateral Sudden Deafness at the Onset
形岡 博史
1
,
降矢 芳子
1
,
隈田 啓一
1
,
錫村 明生
2,3
1医仁会平井病院神経内科
2奈良県立医科大学神経内科
3現 四日市市立四日市病院神経内科
pp.490-491
発行日 2001年5月1日
Published Date 2001/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901780
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症例 83歳,男性
1998年5月25日朝,突然両耳が聞こえなくなり,ふらつきのため歩きづらくなったため同日救急入院となった。回転性めまい,耳鳴はなかった。入院時,独歩可能であり血圧188/108mmHgと上昇していたが,脈不整や頸部血管雑音はなく,神経学的には両側高度難聴と四肢深部反射軽度低下を認めた以外に,小脳失調を含め異常所見を認めなかった。入院時検査では白血球数と血糖値の軽度上昇を認めたほかに異常値はなく,心電図も正常であった。オージオグラムで両側感音性難聴を認めた。入院後,症状の変化はなかったが,第4病日に突然意識障害と右片麻痺が出現し呼吸停止に至り第33病日に死亡した。第4病日の頭部MRI T2強調画像で両側小脳半球と中小脳脚,橋穿通枝領域,右中脳大脳脚に多発性の高信号域を認め(図A),T1強調画像では低信号域を示していた。大脳半球には高信号域は認めなかった。GD-DTPA T1強調画像では,本来造影されない左後下小脳動脈より中枢側の左椎骨動脈と,右椎骨動脈および脳底動脈が造影され,同部の血流低下が示唆された(図B)。
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