「脳と神経」への手紙
「尿閉症,小脳失調を呈し,15年後脊髄腫大を呈した29歳男性」について
杉山 一彦
1
1広島大学医学部脳神経外科
pp.180
発行日 1999年2月1日
Published Date 1999/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901402
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拝啓
上記論文について質問3点と1つのコメントをさせていただきます。
(1)germinomaのうち,血中のHCG値が軽度上昇し,組織学的にcytotrophoblastはないもののsyncytiotrophoblastic giant cells(STGC)が認められる症例が存在することが知られています(germinoma with STGC)。しかし,実際病理学的にSTGCの証明が可能な症例はごくわずかで,血中のHCG値が軽度上昇し,病理診断はpure germinomaである例が多いのが実状です。最近はこのような例をger-minoma with STGCに含めていると思われる報告4)や実際そのように定義している報告3),さらにこのような症例をHCG-producing germinomaと総称しようとする報告2)も認められます。しかし,髄液中のHCG値はそもそも基準値が設定されておらず,髄液中のHCG値を根拠としてgerminoma with STGCと診断した症例は少ないのではないかと考えます。
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