Japanese
English
総説
脳の血管周囲細胞
Perithelial Cells around Cerebral Blood Vessels
間藤 方雄
1,2
Masao Mato
1,2
1自治医科大学解剖学講座
2国際医療福祉大学保健学部
1Department of Anatomy, Jichi Medical School
キーワード:
cerebrum
,
microvessels
,
perivascular cell
,
macrophage
,
FGP cell
Keyword:
cerebrum
,
microvessels
,
perivascular cell
,
macrophage
,
FGP cell
pp.965-976
発行日 1998年11月1日
Published Date 1998/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901352
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はじめに
脳の血管は主としてWillisの脳底動脈輪に由来し,前,中,後の大脳動脈の枝が分岐を重ね,特定領域の神経細胞に酸素と栄養を供給している。血管の分岐様式は他の臓器と同様,逐次二分岐し直径8μm以下の毛細血管に至るが,脳には脳門と呼ぶべき部位はなく,血管は有孔質を通り脳実質に至る穿通枝と,脳皮質に沿って上行しつつ,その母血管からほぼ直角に脳皮質に送る皮質枝とがある。いずれの血管もくも膜下腔から脳実質に入る際にその直径が著しく減少し細動脈となる。それら細動脈周囲には毛細血管領域の周皮細胞と異なる周囲細胞が付着している。すなわち,細血管の血管壁は毛細血管と異なり1〜3層の平滑筋細胞とその外側に血管周囲細胞が認められる。
血管周囲細胞とは,厳密に言えば生理的条件下において血管周囲隙に限局する細胞(群)を指し,内皮細胞と共通の基底膜に被われる周皮細胞および脳実質に分布するミクログリアを含まないのである。従来,この点に誤解があり脳血管周囲細胞としてHortega1)のミクログリア,Cammermeyer2)のgranular pericyteなどもあげられている。Ibrahim3)(1974)は脳内mastcellをI型,II型に分け,そのあるものは血管周囲に分布することを報告している。しかし,彼の報告はいずれのタイプの細胞にも異物摂取能を欠くとしている点が筆者の報告した細胞とは異なっていた。
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