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くも膜が存在しない脳室内にくも膜嚢胞が発生することは異例で,稀なことと考えられる。われわれは経験した3例の脳室内くも膜嚢胞を報告し,画像診断的にその発生起源につき考察を加えた。
主訴は第1例は頭痛と運動遅延および頭囲増大,第2例は頭痛と左上肢のしびれ感,第3例はめまいと意識消失発作であった。画像診断的には,CTで第1例と第2例では右側脳室三角部に,第3例では右側脳室下角に,それぞれ嚢胞性の低吸収域を認めた。造影CTでは,第1例および第2例においては脈絡叢は前外側に圧排され,第3例では嚢胞は脈絡叢と密接していた。第1例と第2例では脳室壁のfenestrationとcystoperito-neal shuntを,第3例では嚢胞壁の切除を行いいずれも症状は改善した。嚢胞壁は光顕的に,さらに免疫組織化学的検索によりくも膜より成っていることが証明され,したがってこれらの嚢胞がくも膜嚢胞であることが確認された。CTおよびMRIで嚢胞に接する脈絡裂が開大し,これを経て嚢胞の一部が四丘体槽内へ突出しているのが認められた。また,第3例の手術で嚢胞壁が脈絡裂に強く癒着しているのが確認され,また手術後のMRIで縮小した嚢胞の壁が脈絡裂に付着しているのが認められた。以上の所見より脳室内くも膜嚢胞の起源は脈絡叢の血管とともに引き込まれた脈絡裂内のarachnoid layerであると考えられる。
Arachnoid cysts very rarely occur within the ventricular system, where no arachnoid tissue exists.
We present three cases of intraventricular arach-noid cyst with special reference to its origin.
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