Japanese
English
総説
発達期脳における虚血・低酸素症の病態
Pathophysiology of Hypoxia-ischemia in the Developing Brain
吉岡 博
1
,
澤田 淳
1
Hiroshi Yoshioka
1
,
Tadashi Sawada
1
1京都府立医科大学小児科
1Department of Pediatrics, Kyoto Prefectural University of Medicine
キーワード:
hypoxia
,
ischemia
,
hypercapnia
,
brain damage
,
developing brain
Keyword:
hypoxia
,
ischemia
,
hypercapnia
,
brain damage
,
developing brain
pp.613-620
発行日 1996年7月1日
Published Date 1996/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900968
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I.はじめに
成熟脳の虚血性損傷の発生機序については,この約10年間に多くの新しい知識が集積された。グルタミン酸を初めとする興奮性アミノ酸と海馬における遅発性神経細胞死の関連,カルシウムの細胞内流入の重要性,カルシウムチャンネルの動態とそのブロッカーの効果についての研究,フリーラジカルや一酸化窒素の重要性,虚血後のストレス蛋白の発現やアポトーシスの関与などである。発達期の脳,すなわち未熟脳に虚血が作用したときに起こる障害の発生機序は,成熟脳における場合と基本的に同じであると考えられる。しかし未熟脳と成熟脳との間には,それぞれの過程における脳の抵抗力や反応の程度などに差があると考えられる。本稿においては,脳低酸素症および虚血に対する未熟脳と成熟脳の反応の差を中心に未熟脳における低酸素症・虚血の病態についての最近の見解を解説する。
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