Japanese
English
特集 難治疾患の病名告知をめぐって
悪性脳腫瘍
Malignant Brain Tumor
野村 和弘
1
Kazuhiro Nomura
1
1国立がんセンター中央病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, National Cancer Center Hospital
キーワード:
truth telling
,
disclosure of malignant brain tumor diagnosis
,
informed consent
,
frequency of malignant brain tumor
,
survival rate glioma
Keyword:
truth telling
,
disclosure of malignant brain tumor diagnosis
,
informed consent
,
frequency of malignant brain tumor
,
survival rate glioma
pp.403-408
発行日 1996年5月1日
Published Date 1996/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900940
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
がんの病名告知は既に多くの施設で行われ,最近は大方賛成の方向に動いているようである。癌に関する一般の人の関心がそれだけ高くなり,告知を受容できるようになったということなのであろう。また,インフォームドコンセントの概念が医療の世界に導入されて,医療者側からしても,告知無くして治療を進めることができなくなったという現実があるため,積極的に実施している施設が増えていることもまた世論形成に影響しているものと思われる。インフォームドコンセントの概念はニュールンベルグの倫理綱領(1947年)に端を発し発展してきたもので,その意味するところは,患者は真実を知る権利(同時にその権利を放棄する権利)をもっている。医療者側からすれば,患者に真実を告げる義務があるということである1)。この理念からすれば患者が拒否しない限りにおいて,病名の告知無くしてインフォームドコンセントなどあり得ないことになる2)。こうした趨勢の中で悪性脳腫瘍に関する告知の問題は,未だ十分な議論はなされていない。ここでは,一般のがんの告知で考えられている諸問題を考慮しながら悪性脳腫瘍,特に脳実質性に発育する神経膠腫についてどう患者に真実を告げ,その後どのように対処していくべきか,そこに生まれる問題などを筆者なりに考えた。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.