連載 症候学メモ余滴・2
21世紀を見据えた医学医療省の設置
平山 惠造
1
1千葉大学
pp.180
発行日 1996年2月1日
Published Date 1996/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900910
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1993年2月1日号の週刊:医学界新聞に「医学・医療の岐路—医学医療省の創設へ」という一文を寄稿した。後日,何人かの思わざる方々から興味深く読んだ,同感である,といったお言葉を頂いた。今回の本欄ではこの問題を再び取り上げてみる。内容は一部重複する点もある。
「医」は病を治すこと,医学はその学問であり,医療はその施術である。医学と医療が相俟って初めて真の医をなすことができる。実践的な医療なしの医学では医は行えず,医学の基盤なしの医療では真の医になり難い。この両者が車の両輪となり,協働して本来の医の目的に向かって進むことができる。しかし今日の現実はこの両輪が独自の道を走ろうとしている感が大きい。「医」の広い領域を行政的に管轄しているのが主として文部省と厚生省である。文部省は大学医学部,医科大学などの医学教育制度,内容を取り仕切っており,厚生省は大学病院をはじめ市中病院,診療所での医療水準の向上,健康保険などの整備を目ざしている。これらが両々相俟って国民に「医」が行き渡ることになる。
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