辛口リレーエッセー 私の医療論・病院論
21世紀へ向かっての医療を考える
佐藤 武男
1
Takeo SATO
1
1大阪府立成人病センター
pp.680
発行日 1990年8月1日
Published Date 1990/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900708
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第2次大戦後,20世紀後半に入ってから,日本は経済の高度成長を達成し,その影響もあって人口の大転換(出生率低下,死亡率低下,平均寿命の延長)が行われた.この奇跡的な変容は日本人の資質によるところが大きいといえる.
現象面では,大衆高齢化社会が到来し,疾病構造は変貌してしまった.人口ピラミッドは崩れて円筒形になり,急カーブを示して高齢社会に突入してゆく.2021年には65歳以上の老人が総人口に占める割合が23.6%になり,さらに2043年には24.2%にまでなると推計されている.この世界一の高齢化社会となる原因の一つに,戦後のベビーブームの老齢化があげられている.したがって戦後が今から始まると考えてよいのではないか.具体的には,高齢者単独世帯の増加,および痴呆性老人,寝たきり老人の激増がある.
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