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特集 小脳変性症をめぐる最近の話題・I
本邦脊髄小脳変性症の特徴—全国的疫学調査から
Spinocerebellar Degenerations in Japan:The Features from an Epidemiological Study
北 耕平
1
Kohei Kita
1
1千葉大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Chiba University School of Medicine
キーワード:
spinocerebellar degeneration
,
Shy-Drager syndrome
,
multiple system atrophy
,
epidemiology
,
Japan
Keyword:
spinocerebellar degeneration
,
Shy-Drager syndrome
,
multiple system atrophy
,
epidemiology
,
Japan
pp.5-13
発行日 1995年1月1日
Published Date 1995/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900729
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はじめに
SCDは小脳/脊髄に病変の主座を有する,遺伝性あるいは非遺伝性の原発性変性疾患を神経病理学的に集約した概念である。本邦SCDの実態調査は20年近く前(1975〜1977年)に厚生省脊髄小脳変性症調査研究班(祖父江逸郎班長)でSCDの主要5疾患の全国的疫学調査が行われたことがある1)。その後,SCD全般の臨床病理学的知見の蓄積や画像検査法の進歩により,SCDに属するさらに多くの疾患について,臨床診断が可能になってきた。また一方で,SDSやMSAとの関連が注目されてきた。
このような背景から,近年(1988〜1991年),厚生省特定疾患運動失調症調査研究班(平山惠造班長)で,SCDの主要10疾患を中心に再度全国的疫学調査が実施された2〜7)。これらの結果は一昨年の第34回日本神経学会総会シンポジウム「本邦における脊髄小脳変性症—最近の進歩と今後の展望—」において報告され8),また最近外国誌にも発表された9)。その内容は今日の日本におけるこの種の疾患の実態をほぼ現わしているものといえよう。本稿では上記調査結果2〜9)をもとに本邦のSCD主要10疾患の実態と特徴について述べる。欧米ではまだこのような詳細な全国レベルの臨床疫学調査をみない。
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