Japanese
English
特集 随意運動の神経機構—新しい考え方
動作緩徐(bradykinesia)の神経機序
Neural Mechanisms of Bradykinesia
柳澤 信夫
1
Nobuo Yanagisawa
1
1信州大学医学部第三内科
1Department of Medicine (Neurology), Shinshu University School of Medicine
キーワード:
bradykinesia
,
sensori-motor processing
,
reaction times
,
frontal lobe
,
Parkinson's disease
Keyword:
bradykinesia
,
sensori-motor processing
,
reaction times
,
frontal lobe
,
Parkinson's disease
pp.627-638
発行日 1993年7月1日
Published Date 1993/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900506
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はじめに
動作緩徐(bradykinesia)はパーキンソン病または症候性パーキンソニズムに特有の運動障害で,目的運動の開始が遅く,遂行がのろい症候である。古くから基底核障害の代表的症候として,基底核の運動機能を考えるうえでもっとも重要とみなされてきた。その主な責任病変は線条体にあり,黒質線条体路の障害による線条体細胞の機能障害(パーキンソン病),あるいは血管障害や黒質線条体変性症による,線条体細胞の直接障害によって生ずる。また,動作緩徐に伴い無動(akinesia)がみられる。これは瞬目や身ぶり手ぶりなどの日常生活における何気ない動作がみられないことも含めて,動作が全体として乏しくなり身体が動かなくなる状態である。動作緩徐と無動は相伴って出現する場合が多く共通のメカニズムが存在すると考えられる。しかし,無動はその神経機序が明らかでないまま概念が広く用いられるようになった。本稿では動作緩徐を中心にその神経機構について述べる。そして動作緩徐についてパーキンソン病の知見を中心に動作遂行の遅れと動作開始の遅れの2つに分けて従来の知見を述べ,さらに基底核へ投射する大脳皮質の関与についても論じたい。
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