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書評
—Peter S Harper MA DM FRCP 訳 松井一郎 佐藤孝道 孫田信一—遺伝相談の実際 2ND EDITION
Practical Genetic Counselling
日暮 眞
1
1東京大学保健学科母子保健学
pp.1204
発行日 1989年12月1日
Published Date 1989/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206443
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- Abstract 文献概要
今日,医学の体系のなかで,遺伝学の果すべき役割は,基礎的な研究から応用面の各領域にわたりきわめて大きいものがある。その背景の一つは,人類遺伝学が医学のあらゆる分野で欠かせない学問体系にまで成長してきたことであり,いま一つは,疾病構造が著しく変化し,遺伝的要因の関与する疾病の比重が重くなってきたことである。
このような背景のなかで,人類遺伝学や関連の臨床遺伝学の教科書や遺伝相談の著書がつぎつぎと刊行されるようになってきた。それらのなかで遺伝性疾患の解説は,メンデルの法則に従う遺伝型式をもつ遺伝子病,染色体異常,先天異常(奇形)などに重点を置いて記述されてあるものが多い。しかし,さきにも述べたように,近年の先進国における死因や疾病構造の変化は,がん・成人病・難治性疾患を医療の前面に強く押し出すことになった。これらの慢性疾患・難治性疾患の多くは程度の差はあれ,遺伝的要因の関与があり,多因子性疾患と呼ばれている。そのような状況下で,臨床家たちが求められている患者への治療的対応の中で,個々の疾患に関する遺伝相談(遺伝性の有無とその診断・同胞再現率と次代に同一異常のあらわれるリスクならびに予防法・保因者診断・近親婚等)のニーズも緊急な課題の一つとなってきている。
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