書評
—著者 市川忠彦 筑波大学—誤りやすい異常脳波
山鳥 重
1
1姫路循環器病センター神経内科
pp.1203
発行日 1989年12月1日
Published Date 1989/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206442
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神経疾患の診断に脳波は欠くことの出来ない地位をしめている。脳波診断の重要性は最近の画像診断の発達でいささか背景に退いたようにもみえるが,見せかけのものである。特に代謝性脳症や,痙攣性疾患では脳波変化がしばしば診断の決め手となる。あるいは臨床的に昏睡状態にある患者で,CTなど画像上になんらの変化が見られないような場合,脳波はしばしば診断の導きの糸である。
今回出版された市川氏の「誤りやすい異常脳波」は第一線の臨床家にとってはまたとない良質の手引書である。本書の構成はきわめて実践的で,理論は極力省略されており,脳波そのものの正確な読み方に焦点が絞られている。すなわち,28種の異常波形と4種の異常と誤りやすい正常波形,それに2種の誤りやすい臨床脳波像が取り上げられ,それぞれの波形について懇切丁寧な解説が展開されている。
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