連載 症候学メモ・41
共同偏視と注視麻痺
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.580
発行日 1988年6月1日
Published Date 1988/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206124
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◆学会などで口演を聞いていると,共同偏視と注視麻痺とが混乱して用いられていると思われることがある。思われるというのは演者に確かめていないからで,多分間違いはないであろう。多い誤りは,意識は清明で共同偏視がみられた,という類のものである。
◆共同偏視というのは,脳卒中発作のときなど,意識が消失した状態で,両眼球が一方の横方向,やや上を強制的に向いたもので,多くは同時に頭がその方向に回転している。つまり正しくはdéviation con.juguée des yeux et de la tête (con-jugate deviation of the eyes andof the head)であり,両眼と頭との共同的な偏倚をさしている。しかし日本人は長たらしい名称を好まないので,これを簡単に共同偏視と呼ぶことにしたように思われる。両眼が共同的に一方を向いているので,共同偏視とはうまい言葉のようにみえるが,二つの点で問題がある。
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