書評
—平野朝雄 Montefiore Medical Center神経病理学部主任 Albert Einstein医科大学病理学教授 兼 Neuroscience部門教授 著—神経病理を学ぶ人のために 第2版
萬年 徹
1
1東京大学
pp.570
発行日 1986年6月1日
Published Date 1986/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205724
- 有料閲覧
- 文献概要
平野朝雄教授の「神経病理を学ぶ人のために」の第2版がこのほど出版された。われわれが,本書の第1版を手にしたのは丁度10年前である。この10年間に神経病理学は派手な動きはないものの,着実な進歩をとげ,それを反映するように多くの教科書が次々と世に出ている。その中にあって,平野教授の「神経病理を学ぶ人のために」は神経病理を専攻する人をはじめ,神経学の臨床にたずさわる者にとって極めて重要な書物であり続けた。今回の第2版は,「初版の趣旨を保ちながら」(著書まえがきによる)この10年間の新知見をおさめたものである。
本書は「入門の第一歩」「細胞からみた神経病理学」「病因からみた神経病理学」の3部から構成される。「入門の第一歩」は,神経病理学では対象をどういうように取扱うかが要領よく解説されている。本章でもっとも重要と思われたのは,あたり前の事のようであるが神経病理の問題点は「まずなにより臨床所見と診断から」はじまることを指摘しておられる点である。
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.