Japanese
English
特集 神経心理学の現況
神経心理学と画像診断
Imaging Techniques in Neuropsychological Localization
河村 満
1
,
平山 惠造
1
Mitsuru Kawamura
1
,
Keizo Hirayama
1
1千葉大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Brain Research Institute, Chiba University School of Medicine
pp.45-54
発行日 1986年1月1日
Published Date 1986/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205641
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
近年本邦においても,高次大脳機能障害を扱う神経心理学(Neuropsychology)は神経学(Neurology)の中の重要な領域になりつつある。10年ほど前までは,失語,失行,失認の研究は神経学の中では極く限られた一部の人々にまかされていた。その第一の原因は,症候学が十二分に確立しておらず,症候の把握と理解に難しさがあること,第二は病巣を容易に同定し難いために,解剖・生理学的病態機構を越えた観念的な思弁に陥り,一般に受け入れられにくかったことである。ところが,X線Computed Tomography (CT) scanによる検査が急速に普及し,かなり容易に病巣診断が可能になり,上記の第二の問題点は解消した。すなわち,X線CT scanの出現による画像診断法の進歩が昨今の神経心理学の隆盛の最も大きな原因であると言うことが出来る。又,最近,これに加えて磁気共鳴像(Magnetic ResonanceImaging, MRI)やポジトロンCT (Positron EmissionTomography, PET)が開発され,今後それらによる検査が盛んになれば,病巣研究は一層精密になり,それに従って神経心理学はさらに発展することが期待される。
本論文では,以上の3つの画像診断法(X線CT,MRI, PET)による病巣検討法を具体的に述べながら,それらが神経心理学の進歩において果してきた役割,又は果しつつある役割を論ずることにする。
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.