連載 症候学メモ・3
シャルコー関節Charcot's joint
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.247
発行日 1985年3月1日
Published Date 1985/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205475
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脊髄携患者にみられる関節症はJ.M.Charcotによって1868年に記載されたが,これをアングロサクソン系の国でシャルコー関節の名で呼ぶようになった。英語系の医学辞典をみると,neuropathic arthropathyを指すと書かれたり,糖尿病性ニューロパシー,脊髄空洞症,脊髄癆などにみられるという説明が付されている。しかし,筆者がフランスで学んだ限りでは,シャルコー関節はそのような神経原性関節症全般を指すものではない。
或る時,脊髄空洞症患者の肘関節に生じた関節症について質問した際,Garcin教授は「これをシャルコー関節とはいわない。シャルコー関節は脊髄癆に起った,普通は膝関節にみられるものである。自分は脊髄空洞症で下肢に関節症が来たのを今までにみたことはない。下肢にみられる関節症は先ず脊髄癆を考えるべきである。」という主旨のことを言われた。爾来,筆者はそのように心得ている。
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