Japanese
English
特集 頭蓋内圧亢進
脳浮腫の面から
A study on brain edema
中沢 省三
1
Shozo Nakazawa
1
1日本医科人学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Nippon Medical School
pp.25-35
発行日 1980年1月1日
Published Date 1980/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204523
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I.はじめに
一般に,生体の組織は損傷を受けると腫脹をもつて反応する。脳もその例外ではなく,損傷や非生理的条件によつて,容易に脳実質の腫脹をきたす。しかし,脳の腫脹によつてもたらされる病態は,他臓器のそれとは全く異なつた重要な意味をもつ。
脳は頭蓋骨という硬い骨性のsemi-closed boxの中に被われているので,腫脹による膨化が許容される空間的余裕が極めて少ない。それ故,脳が何らかの理由で腫脹を余儀なくされた場合,脳はその実質の膨化をclosedboxをこえて拡げることができず,圧を内方に及ぼしてみずからの首をしめる結果になる。すなわち,脳ヘルニアがこれで,他臓器に類をみない重篤な状態に陥り,臨床上重大な問題となることは,今更強調するまでもない。
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