Japanese
English
研究と報告
慢性分裂病の認知障害—Dichotic Listening法による検討
Cognitive Deficit of Chronic Schizophrenia on a Dichotic Listening Task
種田 真砂雄
1
,
志津 雄一郎
1
,
玉城 嘉和
1
,
横内 恵子
1
,
村岡 英雄
1
,
高見堂 正彦
1
Masao Taneda
1
,
Yuichiro Schizu
1
,
Yoshikazu Tamaki
1
,
Keiko Yokouchi
1
,
Hideo Muraoka
1
,
Masahiko Takamido
1
1北里大学医学部精神神経科
1Department of Neuro-psychiatry, School of Medicine, Kitazato University
キーワード:
Chronic schizophrenia
,
Cognitive deficit
,
Dichotic listening
,
Attention
,
Memory
Keyword:
Chronic schizophrenia
,
Cognitive deficit
,
Dichotic listening
,
Attention
,
Memory
pp.787-797
発行日 1981年8月15日
Published Date 1981/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203291
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抄録 慢性分裂病の認知障害について多くの知見が得られているが,中心のテーマをなしているのは注意障害である。注意は,情報処理における,広さ(量)と深さ(正確さ)のやりくり(trade-off)と定義できる。この見地にたってdichotic listening法を用い,慢性分裂病者の注意を正常者のそれと比較した。右耳には,情緒的に中性の内容の散文を呈示して追唱させながら,左耳に高低2種の純音を呈示,低音を選んでタッピング反応を求め,テスト終了後に散文の内容を想起させた。その結果,慢性分裂病ことに症状活発な者では,脱落型の追唱エラーが多く,タッピングの正答数は少なく,想起に乏しいことがわかった。これらのことより,慢性分裂病者は,注意容量が小さく,処理能力の分配に欠陥があり,短期記憶での処理が遅いと考えた。さらに,追唱に際して言語的処理(文脈的な意味の分析)が浅いため,長期記憶に移送することが不十分となり,再生が乏しくなるものと推測した。
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