ご存知でしようが
脳神経外科領域における陽子線照射療法—Massachusetts General Hospital
平川 公義
1
1京都府立医大脳神経外科
pp.436
発行日 1978年4月1日
Published Date 1978/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204236
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高エネルギー陽子線照射療法(Proton Beam Irradia—tion)が世界の幾つかの中心的施設で行われていることは御存知の通りである。最近,筆者はHarvard Cyclo—tron (160 MeV)において,1,000例を超える豊富な脳神経外科領域の治療経験をもつDr.R.N. Kjellbergの下で,40余例の治療に参加する機会を得た。
Cyclotronから発射されたProton Beamは,射程の終る直前で,最大の照射線量となる。X線,γ線では,表面から深部に行くほど線量は漸減するが,ProtonBeamの場合には,対照的に,深部に急峻な線量のピークが現れるのである。つまりBragg curveと呼ばれる線量分布曲線である。一旦,ピークに達した後は,1,000〜2,000 rads/mmと急速に線量を失う。表面皮絹線量は中心線量の1/10〜1/20である。従つて定位脳手術の技法を用い,Proton Beamのエネルギーを吸収材で調整すると,脳深部に狙つた通りに,限局陸のProton照射野を得ることが出来る。従つて,境界鮮明な,比較的良性疾患が本法の最も良い治療対象となる。
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