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脳血流停止に当って,脳組織自体の損傷の外に,脳血管が障害されるため,血流の再開後も脳循環障害が遷延するno reflow after cerebral ischemia (Majno G,et al.Lancet,1967,Sept.9:569)は,実験的に副腎皮質,腎,下肢等の他の臓器における同様な現象(Harman JW,Am.J.Path.1948,24:625, Kowacs K,et al.J.Path. Bact.1966:91:235,Krug A,Circulation Res.1966,19:57,Sheehan & Davis,J.Path.Bact.1959,78:105)や,"bloodless brain"における脳虚血許容時間の延長(Neely & Youmans,JAMA,1963,183:1085)に着目して,最終的には脳組織が長時間の無酸素状態に耐え得る可能性を追求するために,その研究が計画されている。
家兎を用いた脳血行遮断のモデルが作製され,脳血流再開後にcolloidal carbon(Pelikan Werke,C11/1431a, Germany)を灌流すると,colloidal carbonのno reflow—ed areaが出現し,血流再開直後にリンゲル液で脳灌流を行って,血液成分を排除してからbenzidin染色を行うと,colloidal carbonのno reflowed areaに相当してred blood cell(RBC)aggregationが証明され(Kowada M,et al.J.Neurosurg.1968,28:150),これが研究を進める上での具体的な出発点となっている。
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