Topics Respiration & Circulation
No-reflowに対する薬物療法
北風 政史
1
1大阪大学医学部第一内科
pp.1249-1250
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910088
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■最近の動向 循環器領域におけるNo-reflow現象とは,主に急性心筋梗塞症例において梗塞責任冠動脈の再疎通にもかかわらず,心筋レベルにおいては再灌流が得られない状態をいう.現在,急性心筋梗塞に対して冠動脈再疎通療法は積極的に施行されているが,再疎通に成功した症例すべてにおいて良好な成績を得られるわけではなく,特にNo-reflow現象を呈した症例においては左心機能の回復や急性期,慢性期を通じての臨床経過は不良であると報告されている.しかし,臨床例におけるNo-reflow現象が,冠動脈再疎通までにうけた心筋ダメージの大きさの反映なのか,あるいは再灌流傷害の反映なのか,またNo-reflow現象が再灌流後の心筋ダメージを更に拡大するのかは未だ結論はでていない.しかしながら,No-reflow現象を予防あるいは縮小することが治療として有効であることは想像に難くなく,現在,No-reflow現象の出現の阻止,あるいは再疎通後生じたNo—reflow領域内の血流回復を目指して様々な試みが進行中である.今回紹介する文献もそうした内容であり,そのうち2つは本年初めて報告された臨床例における報告である.興味深いことに2報とも冠動脈再疎通後に薬剤を冠動脈内投与するということで一致している.今後,再疎通前,すなわち来院時より経静脈的に薬剤を投与し,No-reflowの出現を予防あるいは軽減したという報告も出現が期待される.
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