ご存知でしょうが
多因子遺伝と閾仮説
有馬 正高
1
1鳥取大小児神経科
pp.388
発行日 1976年4月1日
Published Date 1976/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203871
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奇形の原因分析で,多遺伝子性polygenicとか,多因子性multifactorialという言葉がしばしば用いられている。これは,通常みられる先天奇形が,一卵性双生児の一致率が高く,家族的にみられる率も一般集因のそれより高いにかかわらず,Mendelの単純な遺伝形式では説明できないことに着日して考えられた仮説である。
最初,分析の対象になつたのは,先天性肥厚性幽門狭窄,先天性股関節脱臼,兎唇,口蓋裂などであつたが,その後,多くの単純奇形の発症原因の解析にも適用されるようになり,さらに,後天性慢性疾患の原因解析にも拡大されている。多因子性疾患の発現には複数の遺伝子と,おそらく,複数の環境要因が相加的に働らき,その作用の合計がある一定の範囲(閾値)を越えた場合に発症すると仮定している。
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