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反復性一過性の末梢性顔面神経麻痺並びに顔面特に口唇の浮腫と,皺襞舌を有するものをMelkersson—Rosenthal症候群,あるいは単にMelkersson症候群と称する。顔面神経麻痺および浮腫は子供の時期にはじまり,2週間ないし2月程度で治るが再発する。その間隔は長短不定である。この2症状がはじめMel—kersson (スウェーデン,1928)により記載されたが,Rosenthal (独,1931)が同様な症例で皺舌linguaplicataを認め,かつ家族的出現を指摘した。爾来,上記3症状がこの症候群の主要症状(三主徴)とされて来たが,これに伴なって現われ得る症状,すなわち辺縁症状が数多く指摘され,諸脳神経症状,偏頭痛,末梢神経障害,錐体路症状,流涙,指先知覚異常・cyanose,悶輝暗点,失神発作,脳波異常等々があげられている。ただここで問題となるのは,これら辺縁症状の中に病態,病因解明の手掛かりを与えるもののある可能性はあろうが,これら辺縁症状が大きくとり上げられるあまり主症状がややもすると背景におしやられ,この症候群と他の症候群(疾患)との境界が曖昧にされがちであることは否めない。
この病因については当初から血管運動神経の異常が指摘されていたが,口唇部浮腫の生検所見がsar—coidosis類似であるとして,sarcoid—osisの異型であるという見解や,アレルギー性,その他の説がある。
MelkerssonやRosenthalの報告よりも古く,同様な症例がHüb—schmann (1894),Rossolimo (1901)により記載されていることがRos—enthalにより指摘されているが,それに対し異論を唱える人もいる。
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