書評
—Connolly, K. J. 編—Mechanisms of Motor Skill Development
神保 実
1
1東京女子医大
pp.600
発行日 1973年5月1日
Published Date 1973/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203320
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本書は1968年11月25日から29日にかけてLondonで行われた「運動機能発達の機序」に関する研究会での講演の集録である。developementalscience seriesの第3号にあたる。
運動機能発達のmechanismの解明については比較心理学,実験心理学の寄与する所が大である。歴史的にみれば,まずmaturation hypo—thesisがある。運動機能の発達は,その個体の発育段階によつて内因的にあらかじめ決定されて居り,環境の影響を余りうけない。いはば,水の中に入れると常にきまつた花の形にひらく水花のようなものだというのである。しかし機能の発達が外界の影響をうけないという考え方はむしろ不自然であり,この説は批判修正された。現在,行動様式の分析には工学領域の自動制御の概念が多く導入されている。幼小児の神経学的,生理学的な面,つまり生物学的な面は,将来の洗練された運動機能の基礎になるものであり,hardwareにたとえられる。把握反射,吸引反射等の現象もこれに含まれる。これらのhard wareが視覚,聴覚等のcheck,試行錯誤的運動の繰返し等のfeed back systemのコントロール(soft ware)をうけて洗練された行動様式に仕立てられる。Connollyによれば熟練とは運動機能のsubroutine化であるという。
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