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はじめに
椎骨動静脈瘻は戦時の銃創或は刺創によるものが数多く報告されているが,Philipsson and Karnell (1956)以来,経皮的椎骨動脈撮影の合併症として発生したものも報告されるようになり,現在迄に外国文献上,血管撮影によつて確実に診断されたもの26例が数えられる2)〜8)12)〜18)。このほか未発表や(Garlandら6)),血管撮影で確認されていない症例も存在する。経皮的椎骨動脈撮影の合併症としては後大脳動脈領域のischemia (視野欠損,精神症状),椎骨動脈或はその分枝の閉塞,上腕神経叢損傷,頸椎のOsteomyelitis,頸部軟部組織内血腫,造影剤のextravasationなどが挙げられているが,その他にこの動静脈瘻も考慮されなければならない。我国では経皮的椎骨動脈撮影はあまり広く行なわれていないようであり,この合併症の報告も未だ著者らの眼には触れていないが,上記外国の文献中には経皮的頸動脈撮影後に発生したものもある。これは頸動脈穿刺の際,誤つて椎骨動脈を穿刺,損傷したものと考えられるが,26例中4例がそれであることから,頸動脈撮影が広く行なわれている現在,注目されなければならない合併症と考えられる。両側性椎骨動静脈瘻は3例の報告があるが2)12),両側性の瘻に対して手術を行ない治癒せしめた例は無い。われわれは両側の経皮的椎骨動脈撮影後に発生した両側性椎骨動静脈瘻を経験し,直接手術によつて両側とも椎骨動脈の血流を保存したまま治癒せしめ得たので報告し,併せて若干の文献的考察を加える。
A case of bilateral vertebral arteriovenous fistulae caused by percutaneous vertebral angiography is reported. Bilateral fistulae were approached directly and closure of the orifices was readily accomplished without interruption of vertebral arteries. The rationale and techniques of surgical treatment have been discussed together with a review of the literature. In order to prevent the formation of an arteriovenous fistula following vertebral angio-graphy, direct puncture of the vertebral artery should be avoided. However, as this complication have occurred also following percutaneous carotid angiography, the importance of intensified training in the technique of puncture procedure must be emphasized.
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