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はじめに
脳神経外科外来を訪れる小児の中に,片麻痺や痙攣,知能発達遅延等を主訴として来院する患児は決して少くない。このような患児に対して神経学的諸検査を施行すると気脳写および頸動脈撮影により大脳の萎縮を少なからず発見することが出来,この点,脳萎縮症は日常極めて一般的な疾患であると云える。さて,脳萎縮という名称であるが,これはあくまでも形態学的な見地よりつけられたもので,その原因および組織化学的検討はあとになつて加えられたという歴史をもつため,臨床的に脳萎縮症という場合,その原因および病理学的,組織化学的見地,臨床経過等の面からも極めて多彩な内容をもつ種々の疾患を含んでいる。従つてその分類も概念も人により異なり,未だはっきりしたcriteronをとるには至つていない現状である。一般的には「脳萎縮とは何らかの病的過程により脳の全体あるいはその一部が容積を減じたもの」と定義され,さらに発生病因により,一次性および二次性脳萎縮,気脳写による萎縮の局在によりcorti—cal atrophyとか,cerebral hemiatrophy等と分類されているのが多いようである。しかしこの脳萎縮に関する脳神経外科学的考察は意外に少ない1)2)3)。今回はこれら大脳萎縮症の中で,特に神経学的にlateralityを示し,また一側大脳半球にのみ萎縮像が認められた15歳以下の小児例につきその種々相を検討し脳神経外科的治療に関し若干の考察を述べたいと思う。
21 cases of cerebral hemiatrophy in childhood were disscussed. It was suspected cerebral hernia-trophy were caused by head injury, birth injury, high fever, encephalitis and meningitis in the retrospective study.
The main symptoms were hemiplegia, mental re-tardation and convulsion. Cerebral angiography and pneumoencephaloroulett tomography were useful, not only for diagnosis but also for getting the in-formation of the genesis.
The cases whose cerebral hemiatrophy caused by kinked internal carotid artery, occlusion of cerebral artery and thalamic tumor were treated neuro-surgically.
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