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sacral nerve root cystはTarlov(Arch. Neurol. Phych.40:1067,1938)が剖検例で偶然発見したが,年を経て Tarlov (JAMA 138:740,1948)がその臨床症状をようやく明かにした。稀なので鑑別に苦しむが,文献には最近手術的に治療せしめた数例がある。著者らはsli—pped discかと考えた3年間250例に8例の本症をみつけた。①28♂数年来腰痛,L4〜L5の椎間板ヘルニアを疑つたが,数回のmyeloでその左rootにcystをみつけ除去全治。②31♀10年来腰痛,右sciatica.myeloでumbosacral1〜3根を圧迫するcyst発見除去全治。③38♀突然ギックリ腰。1カ月後再発myeloでII-IIIのsacral cyst発見除去全治。④54♀7月来腰痛,右sciatica myelo正常。開検。 discprotrusion切除,2月後再発右II—III sacral cyst発見切除全治。⑤31♀6カ月来腰痛paraplegia myeloでT9完全閉鎖,meningioma,摘除,6カ月後再発,両S2にcyst.⑥28♂10年来腰痛sacral cyst証明。⑦30♀L4—L5の症状,椎へ切除,その後cyst証明。⑧56♀L4—L5 disc,切除,後S2 cyst証明。以上4例手術した。本cystはventralrootに生じたという報告なし。その理由あきらかでない。cystは内面arachnoidで外側はduraにつながる硬い壁から成り,中に部位に応じた神経線維が圧迫されている。cyst内液はCSFと同一で,myeloでくも膜下腔を通じているから,ひとつのmeningeal diverti—culaと考えられる。静水圧の高いsacralに発生しやすいのは,この点からよく理解できる。1例,menin—giomaと合併したのもやはり興味がある。診断はdisc protrusionと鑑別しにくいのでmyeloが必要である。
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