書評
—慶応大学・脳神経外科,中央検査科脳波室室長 吉井 信夫 著—図説脳波検査の実際
江部 充
1
1虎の門病院臨床生理検査部
pp.96-97
発行日 1971年1月1日
Published Date 1971/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202848
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著者は本書の序において「正確でよい記録がなければ,正しい脳波のよみも生れてこない」と述べているが同感である。最近,脳波に対する関心がきわめて高くなり,脳波計の普及は目覚ましいばかりであるが,これを記録し判読する技術者および医師ははなはだ不足しており早急な教育が望まれている。それに応えてか最近,脳波の臨床面についての参考書はいろいろと出版されてきたが,技術のこととなると,なかなかよい技術者も得られないし,また適当な参考書も見当たらない。吉井信夫博士は米国の著名な脳波検査室で3年間ゆきかつ学びその後も慶大脳波室の主任として後輩の指導に当たつている,技術をも含めた脳波について我国での現役の第1人者である。従つて同博士によつてこの種の指導書が著わされたことは有意義である。
本書は13の区分から成り立つており,開巻第1頁から終始豊富に図を駆使してわかりよい解説を展開している。まず,
I脳波とはどんなものか。—脳波研究の歴史と概念が簡単に述べられている。
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