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はじめに
急性硬膜上血腫は,一刻を争う緊急の血腫除去と共に,血腫再発防止の処置を要する。急性硬膜上血腫の特徴の1つは,手術成績がよく5)7)8),この点,過半の死亡率を見る急性硬膜下血腫とは顕著な対蹠をなす。また硬膜上血腫の出血源は主として硬膜であり,血腫は早期に凝血,器質化し,硬膜は充血,出血性となる9)11)。したがつて,その手術方法は従来一般に大きな開頭により,血腫を覆う範囲の骨窓をつくり,血腫除去とともに,出血源の処置を完全ならしめるのを原則としてきた。ことに硬膜からの出血に対する処置は,単なる血管の結紮あるいは出血点の電気凝固の方法では不十分をまぬがれず,血腫範囲の硬膜を環状に切つて,血行を遮断し再縫合することによつて完全を期待しうる11)。しかし,血腫の範囲が著しく広い場合には,これを覆う大きな骨弁をつくること自体に困難があり,また殊に矢状静脈洞より出血し,血腫が静脈洞を圧し下げている場合には,大開頭の方法では硬膜の出血源の処置が困難となる。われわれは,トレフィンを用い,血腫の広がりにしたがつてボタン状の骨窓を並べて多数つくることにより,手術の簡単迅速,術中出血量の僅少のみならず,血腫の除去,および再出血の確実な防止の目的を達し得た。
An operative technique of multiple trephine openings is depicted for the removal of epidural hematomas. The procedures of trephination and sewing-up the dura to the edge of the opening are made next by next over the skull covering the hematoma. This technique gives excellent results for removal of the epidural hematoma of the vertex depressing the superior sagittal sinus, and also available for the hemorrhage from the meningeal artery.
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