Japanese
English
脳腫瘍アトラス7
神経鞘腫
Neurinoma
佐野 圭司
1
1東大脳神経外科
pp.1210-1213
発行日 1969年11月1日
Published Date 1969/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202625
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この腫瘍の起源については現在も議論が分かれている。すなわち神経のSchwann細胞から発生するという考えかたと,神経の結合組織成分から発生するという考えかたである。後音の考えかたをとるPenficld (1927)はperineural fibroblastomaとよんでv.Reckinghausenのneurofibromaという名称に加担している。前者の考えかたをもつともはつきりうち出しているRussellはSchwannomaという名前を提唱している。しかし歴史的にみると,すでに1910年Verocayはこの腫瘍はたんに神経のperineuriumやendoneuriumの結合組織成分から発生したfibromaではなく,Schwann細胞の増殖を主体としたものであることを明らかにし,neurofibromaのfibra (ラテン語の線維)にかえてギリシャ語の線維を意味するis (語幹in)を用いてneurino—maという名称を作り出し,fibromaではないことを示そうとしたのである。Russellはv. Recklinghausen病においてはnenrofibromaも存在することを認めている。
neurinomaは頭蓋内ではほとんど聴神経(内耳神経)に発生し,ごくまれに三叉神経にも発生する。全脳腫瘍の約10%を占め(欧米では7〜8%),第5図のごとく成人すなわち20〜50代に多い腫瘍である。男女比はやや女性に頻度が高い。
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