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I.はじめに
中大脳動脈閉塞症は脳血管障害のなかでは,比較的高頻度で,しかも憂慮すべき神経症状を示すものであるが,こんにちまだ積極的な治療法はなく,最近,血栓溶解の酵素療法が開発されているが,効果はなお不確実であり,脳循環を改善するための外科的手段としては,星状神経節に対する侵襲がある程度であり,われわれはただ,これらの消極的な治療を行なつて自然の側副血行路形成を期待しながら,経過を観察しているのみというのが実状である。
中大脳動脈閉塞症に対する根本的治療は閉塞の除去にあることはいうまでもないが,これはその場所が脳底部に近く,また栓子性のもののほか,壁固着性の閉塞も多いので,この除去には技術的に多くの困難と危険を伴うことが予想される。一方人為的に側副血行路を作製することは,姑息的ではあるが,積極的に本症の予後を好転させるうえに有用と考えられ,著者は,外頸動脈枝(浅側頭動脈)を,若干のくふうと顕微外科の手技および接着剤を用いて(著者はこれをcanulation and coating me—thodとよんでいる)これを虚血性の中大脳動脈枝に端側吻合し,乏血脳組織への血液の供給を試みた。
Anastomosis of middle cerebral artery with ex-ternal carotid branch (superficial temporal artery) was performed as a collateral circuit formation for a treatment of middle cerebral occlusion. The au-thor could successessfully perform this operation by means of a special technique of vascular microsur-gery with an application of tissue adhesive agent (canulation and coating method). This special pro-cedure was described.
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