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迷走神経刺激によるてんかんの治療
朝倉 哲彦
1
,
中村 克巳
1
1鹿児島大学医学部脳神経外科学教室
pp.1035-1036
発行日 1993年11月1日
Published Date 1993/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901738
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てんかん外科治療は,外科の伝統的な発想から,過剰な発射を示す組織を切除する,あるいは過剰な発射の伝播を遮断するという術式を生み出した.つまり,I)切除外科として,①焦点切除術,②脳葉切除術,③大脳半球切除術,II)遮断外科として,①皮質切離術(multiple subpial transection;MST),②定位脳手術,③交連切載術が挙げられる.
しかし,てんかん発作の発現には興奮系と抑制系の絡み合いが関与している以上,ここで抑制系の補強という考えが生まれても当然である.薬理学的にも企図されているところであるが,外科的には特定の抑制系を刺激することになる.そこで以前から抑制系の賦活による方法も行われていた.小脳歯状核—赤核—視床—大脳皮質運動野を結ぶ経路に障害が起こると企図振戦をみることが知られている.この系を刺激・強化すれば異常運動の制御が可能になるであろう.Cooper1)は小脳半球上に慢性電極を植え込み,これを刺激して発作をコントロールしようとしたのである。しかし往年のことであり,刺激部位・刺激装置の不備,症例の選択が不十分,などから期待されたほどの成果は得られなかった.
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