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特集 低体温法
〔2〕低体温時の新,旧,古皮質系の電気的活動
ELECTRICAL ACTIVITIES OF NEO-, PALEO AND ARCHICORTICAL SYSTEMS UNDER HYPOTHERMIA
吉岡 真澄
1
,
加藤 茂
2
,
山本 研一
2
,
川村 浩
2
Masumi Yoshioka
1
,
Shigeru Kato
2
,
Ken-ichi Yamamoto
2
,
Hiroshi Kawamura
2
1東京大学医学部脳神経外科
2東京大学医学部脳研究所生理学部門
1Dept. of Neurosurgery. Tokyo Univ. School of Medicine
2Laboratory of Neurophysiology, Institute of Brain Research, Tokyo Univ.
pp.1083-1092
発行日 1962年12月1日
Published Date 1962/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201374
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無麻酔クラレ猫を用い,低体温が新,旧,占皮質系の電気的活動におよぶす影響を各皮質系の脳波および血圧を指標に追究した。
1)冷却により30〜28℃までは増強された海馬覚醒波に対応して一過性血圧上昇があらわれ,28℃以下では海馬覚醒波はくずれ,速波成分を増し,一過性血圧上昇も消失する。
2)後部視床下部破壊ネコでは冷却による海馬覚醒波も一過性血圧上昇もあらわれない。
これは寒冷侵襲に対する生体防御反応または体温調節反応としての交感神経緊張状態,とくに視床下部のレベルで統合される機能と海馬の電気的活動が密接な関係があることを示している。
3)28℃以下においても新皮質—脳幹網様体賦活系,旧,古皮質視床下部賦活系の賦活閾値はいちじるしい変動を示さない。前部視床下部賦活系の閾値はむしろ低下する。
4)前記刺激に対し海馬は10〜15secの律動波で反応し,海馬覚醒波はあらわれない。すなわち28℃以下では海馬覚醒波を発現する機構は崩壊している。この律動波は低水準賦活パタンと思われる。
5)26℃以下で嗅球,扁桃核に同期してあらわれる律動波が周期的にあらわれ,賦活刺激により脱同期化するが視索前野刺激が最も有効である。
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