Japanese
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特集 頭部外傷
〔3〕頭部外傷の治療法の検討
SURGICAL TREATMENT OF CRANIO-CEREBRAL INJURIES
北村 勝俊
1
Katsutoshi Kitamura
1
1九州大学医学部第1外科
1The 1st Dept. of Surgery, Kyushu Univ. School of Medicine
pp.913-914
発行日 1962年10月1日
Published Date 1962/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201339
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- Abstract 文献概要
1958年以降約3年間に,九大第1外科で経験した症例を顧みて,頭部外傷診療上になんらかの示唆を得たいと考えた。第1表は比較的新鮮な症例を集計したもので,総計126例である。手術所見,剖検所見から,一応大まかに分類してみた。なお慢性硬膜下血腫群は,他の慢性例と区別して,本表に加えた。第2表は,荒木教授の純粋症候学的立場からの分類に従つたものである。この2表から,死亡例は開放性穹隆部骨折・脳挫傷と,いわゆる脳圧迫群,すなわち荒木教授の第II型,第IV型に多いことがうかがえる。慢性硬膜下血腫22例には死亡例はない。ここにいう慢性硬膜下血腫は,すべて外傷の病歴を有し,かつ手術所見で被膜を有していた,いわゆる定型的なものである。このうち1例を除く全例に,バーホールよりする血腫内容のirrigationを行ない,再発をみていない。この点では,工藤助教授の治療方針に賛同したい。それに反して,急性硬膜下血腫の全例が,純粋の硬膜下血腫にとどまらず,かならず脳実質の裂創あるいは脳内血腫を伴なつていた。このような症例を開頭してみると,血腫内容はかならず凝血塊であつて,これをバーホールから吸引除去することは実際問題として不可能のように思われる。慢性硬膜下血腫では,内容がすべて凝血塊であることはなく,程度の差はあれ,ともかくも流動性の液体であるので,irrigationが可能である。
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