Japanese
English
綜説
無脳児,とくにその成因について
ANECEPHALY, WITH SPECIAL REFERENCE TO THE GENESIS
村上 氏廣
1
Ujihiro Murakami
1
1名古屋大学環境医学研究所
1Murakami Laboratory of the Research Institute of Environmental Medicine, Nagoya University
pp.813-828
発行日 1959年10月1日
Published Date 1959/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200846
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I.無脳児の概念
無脳児**は奇形中最も頻度の高い中枢神経系異常のうち水頭症,脊椎破裂と共に多く遭遇するものである。その形態の奇怪なこと,引続き無脳児産をくり返すことがあるため,それを生んだ婦人は甚しい絶望感に襲われ,家庭にも暗い影をささせるものである。本異常は僅少の時間より生存に堪えないから,間々死産として扱われ,産婦には知らせないのが常である。
無脳児anecephalyとは頭蓋を欠き(cranio-schisis),脳膜もなく,頭蓋底に赤紫色の血管腫様の異常組織area cerebrovasculosaがあつて脳のない成形異常を指し,そのひろがりが僅少で一部の脳を残す半脳児hemicephaliaや往々脊椎破裂を合併しても何れもその変異型のうちに数えられる。しかし頭蓋骨はあるが脳外套が甚しく薄くなり,うちに液体のたまつているhydranen-cephalyも無脳児として扱われることがあるが,これは全く別個の異常で混同すべきではない(第1,2図)。
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