--------------------
あとがき
H
pp.545
発行日 1957年8月1日
Published Date 1957/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200601
- 有料閲覧
- 文献概要
最近新聞を賑わしたものに毛沢東の演説があつた。日本の新聞が毛沢東の演説をこんなに大きくとりあげたことは今までに無かつた。ハンガリー事件以後,社会主義国家の紐帯がぐらぐらゆるんでいる折から,何といつても中共がどんな反応を示すかが注目されていたからであろう。スターリン批判以来,北京はモスクワと対等のような地位を占めた。5カ年計画の遂行によつて中共の経済的地盤は築かれ,6億の民を有するこの国は世界の外交界からしめ出されてはいても,やはり隠然たる一勢力たることには間違いないからであろう。
急速な建設をおし進めて来ただけに国内的には幾多の矛盾をはらんでいる。毛沢東の演説は一貫してこの矛盾の解決に向けられている。毛沢東は矛盾を対外的なもの,要するに敵と味方を見分けなければならないことと,国内的なものとに分けて考えている。国内的な矛盾は,どのように百家争鳴しようと,対敵性のものとは違う。相互批判が行われても,それは団結を予想する性格のものであり,批判の結果展開される新らしい姿はより鞏固な団結に導かれるものであるからである。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.