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あとがき
H
pp.415
発行日 1957年6月1日
Published Date 1957/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200586
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自信のある業績は,欧文で広く世界に発表の機会を得たい。これは,日本語という,世界の通用語のなかでは全くのローカルな立場にある言語を用いざるを得ない日本の学者の痛切な嘆きである。日本語で発表された論文が外国の学者に認められ次の仕事の基礎になつてゆくということは,現状では全くのby chanceに過ぎないからである。そしてまた,日本の医学の水準が世界の医学界をリードする時が来ない限り,日本語の論文が注目されてゆくことはないからである。
最近こんなこともあつた。第6回「綜合医学賞」に入賞した東大田坂内科の六城雅彙博士の「ビリルビンに関する新知見」は極めてユニークな研究業績であつた。この研究は,既に学界でも論争の的になつたこともあつた。この研究は臨床的にその成果が検索されたものであるが,最近外国に於いて実験的にその成績が確認されている。proceedings of the Society for Experimental Biology and MedicineのVol. 94, No.3に載つた"Constitutional Nonhemolytic Hyperbilirubinemia in the Rat: Defect of Bilirubin Conju gation"という論文がそれである。
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