Japanese
English
研究
低体温麻酔下に於ける髄液相の研究(実験的研究)
Experimental Studies on the Cerebrospinal Fluid under Hypothermia
東 健一郞
1
,
館林 欣一郞
1
Kenichirō Higashi
1
,
Kinichirō Tatebayashi
1
1山口県立医科大学外科学教室第二講座
1the Second Surgical Division of Yamaguchi Medical School
pp.29-36
発行日 1957年1月1日
Published Date 1957/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200533
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緒言
低体温麻酔の臨床応用は最近漸く広く行われる様になり,特に心臓外科に於ては実用され,従来行われていた麻酔方法とは全くその趣きを異にした本法の出現によつて,外科手術に一新紀元を劃しつつあるかの如く思われる。言うまでもなく本法は,低体温時に生体の代謝諸機能が低下する事実を利用して,人為的に生体を寒冷環境におく事によつて,外来刺戟に対する身体の負担を軽減し手術時のシヨツクを防ぐと共に低体温によつて齎らされる低血圧により出血量を減少せしめる事を目的とするもので23),従来危険視されていたシヨツク状態を人工的に作り出して,之を人為的に制禦しつつ,より大きな手術侵襲に耐えうる様にする方法である。従つて従来の消極的麻酔法から脱却して,より積極的な方向に一歩踏み出したという点に大きな意義を有するものである。
心臓外科の本法応用による輝かしい成果については,諸家22)33)の報告が多いが,近時本法は脳外科に於ても応用される様になり,1955年,米国のLougheed26)27)等は,Bigelow7)8), Lewis24),Toufic, Swan9)等の低体温下に於ける血流遮断による心臓内手術の成功に想を発して,低体温麻酔下に脳の血流を遮断して,無血下に脳手術を行い,成功を収めている。
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