Japanese
English
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構成體即構築的特徴を中心に考察せる腦腫瘍の組織性格
Histologic Character of Brain Tumor viewed from the Analysis of Architecture
所 安夫
1
Tokoro, Yasuo
1
1東京大學醫學部病理學教室
1Department of Pathology, Tokyo University School of Medicine
pp.11-19
発行日 1954年1月1日
Published Date 1954/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200382
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I.緒言
Formation或は全體的な構成上の特徴を中心に腦腫瘍の組織像を構築分折的に考察せんとする事はとりもなおさず,腦という獨特な一の臓器に原發した腫瘍が示しうる構成上の特性が,母地の臓器形成過程即胎生時の腦組織發生過程を果して如何に自然に忠實に再現しうるかという問題を介して實は腫瘍性増殖が正常の發育増殖にたいして持つ「へだゝり」を明確にするのに,此の上なく最適な試みとみなす事が出來る。
組織發生的な解釋の含む複雑微妙なニユアンスは,かゝる態度を押しすゝめることによつて,余す所なく明るみに提示されるであろう。全體的な構築の分折によつて,腦腫瘍の組織性格は一應規則づけられるかどうか,構成體の出現を發生生理的細胞配列と相比互較することによつて,腦腫瘍の組織性格に何等かの新しい寄與がなされるであろうか,腦腫瘍に見られる像の多型性の本然の意味が,それによつて,一般腫瘍學上の多型性の意味に完全に合致してくるであろうか。之等の問題は,今私がとりあげた方法による意圖をまつて,いくばくかは確實に解明されるに相違ない。更には,Formation的な構造論は,異個體發生的な腦腫瘍の發生に,何等かの形の手掛りをあたえないではおくまい。
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