3．頸部頸動脈狭窄性病変と冠動脈狭窄閉塞性病変併存例に対する治療戦略

Treatment Strategy for Concomitant Cervical Carotid Artery and Coronary Artery Diseases

はじめに

　食生活の欧米化により，わが国においても頸部頸動脈狭窄性病変および冠動脈狭窄閉塞性病変の頻度が増加している。また，近年の非侵襲的な診断機器の急速な普及により同病変がしばしば無症候性のうちに発見される。両病変は全身動脈硬化性病変の部分病変と考えられ，同一個体に併存することも稀ではない。頸部頸動脈狭窄性病変を治療する立場の神経内科医，脳神経外科医，および冠動脈狭窄閉塞性病変を治療する立場の循環器内科，心臓血管外科医のいずれにおいても，両病変の併存例に対する治療戦略は現時点での最重要問題といっても過言ではない。しかし，今のところこの問題に対してコンセンサスの得られた回答はない。本稿ではこの問題に対する文献上および当施設の考え方について概説する。