Japanese
English
短報
Micrographiaを呈したcarmofur白質脳症の1例
A Case of Carmofur Leukoencephalopathy with Micrographia
安田 究
1,2
,
神谷 輝
1
,
中嶋 照夫
3
Kiwamu YASUDA
1,2
,
Teru KAMIYA
1
,
Teruo NAKAJIMA
3
1京都府立与謝の海病院精神神経科
2現・京都府立医科大学精神医学教室
3京都府立医科大学精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Kyoto Prefectural Yosanoumi Hospital
2Department of Psychiatry, Kyoto Prefectural University of Medicine
キーワード:
Carmofur
,
Leukoencephalopathy
,
Micrographia
,
MRI
Keyword:
Carmofur
,
Leukoencephalopathy
,
Micrographia
,
MRI
pp.1325-1327
発行日 1993年12月15日
Published Date 1993/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904985
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悪性腫瘍の治療に使用される抗癌剤は,副作用として重篤な中枢神経系の障害を来すことがあり,なかでもmethotrexateによる白質脳症や5-fluorouracil(以下5-FUと略)による小脳症状などが有名である。日本で開発され1981年に承認されたcarmofur(1-hexylcarbamoyl-5-fluorouracil)は5-FUのmasked compoundであり,優れた抗腫瘍効果と広い抗腫瘍スペクトルを持つため広く臨床で使われているが,1982年に大越ら8)により本剤に起因する白質脳症の症例が報告されて以来,同症の発症例は今なお散見されている。
Carmofur白質脳症はいったん発症すると速やかに投薬を中止する以外に有効な治療法がなく,重篤な不可逆性の神経症状を呈するため,その早期発見が極めて重要である。同症の初期症状としては,従来から歩行障害,構音障害,健忘などが知られているが4),我々は歩行時のふらつきの後micrographiaを呈して発症に気づかれた1例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。
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