動き
「第11回世界精神医学会」印象記
加藤 敏
1
,
大塚 公一郎
1
1自治医科大学精神医学教室
pp.1354-1355
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904902
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1999年8月6日から11日まで,ドイツのハンブルグ市で,第11回世界精神医学会が開催された(会長:N. Sartorius,ジュネーブ大学,組織委員長:W. Gaebel,デュッセルドルフ大学)。日本からも多数の人が参加し,多くの発表を行った。会場は,市内の広大な美しい公園に隣接するCongress Centrum Hamburgとハンブルグ大学およびRadison SASホテルであった。世界各地から,約1万人の参加者があり,地元のマスコミにも大きく取り上げられた。
ドイツを代表する新聞Frankfurter Allgemeine Zeitungは,8月11日に紙面1枚すべてを学会の報告にあてていた。例えば,「精神医学は単なる生物学以上のものである」という見出しで,「宗教は精神的健康に貢献する」と宗教の重要性を主張するエジプトのA. Okashaの見解や,欧米の精神医療史を踏まえて「精神障害を経験した人や近親者が精神医療の計画,融資,質の確保に加わるべきである」と指摘するドイツのH. Häfnerの提言が紹介されていた。また,「分裂した魂の内面図」という見出しで,精神分裂病の最新の生物学的知見として,死亡脳の剖検とCT,NMR所見(脳室の拡大,視床の容量の低下,旧脳と新脳の分離の所見)などが伝えられていた。
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