巻頭言
森田療法診療所の一つの曲がり角
藤田 千尋
1
1常盤台神経科
pp.462-463
発行日 1998年5月15日
Published Date 1998/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904539
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市街地の片隅で,森田療法専門の小さな診療所の生活を長年続けていると世間との交流も限られてくるが,それでも,この数年の間に仲間が精神科診療所を開いたという話も伝わってくる。しかも,そのうちの何人かは自由診療のスタイルを取り入れているという。
これは私の勝手な憶測にすぎないが,彼らの採ったこの選択が,一つは現行の医療保険制度に基づく精神医療環境に明るい未来像が描けないことによるのかもしれないし,また,一つには社会の変動に伴う様々な病理現象で悩む患者やその家族の不安に対して,自由診療がいくらかでも彼らに得心のゆく対応ができると考えたからかもしれない。
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