動き
「第1回精神医学史学会」印象記
酒井 明夫
1
1岩手医科大学神経精神科
pp.450-451
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904537
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1997年12月5日,東京大学山上会館で,第1回精神医学史学会が開催された。入場者は100人を超え,17の一般演題,会長講演,特別講演,4人のシンポジストによるシンポジウムのそれぞれについて活発な議論が展開された。午前中は2会場に分かれて一般演題が発表されたが,内容は古代ギリシアから19世紀ヨーロッパまでの西欧精神医学史,古代から江戸,昭和にかけての日本の精神医学史など時空間的に広い領域を網羅し,テーマも,特定の個人に的をしぼったものから,通時的な概念の変遷史を取り扱ったものなど幅広い志向性を反映していた。内容はいずれも新鮮で興味深いものだったが,それとともに印象的だったのは,史的な問題にかける演者の熱意とそれを議論の場に呈示できる喜びが聞く側にも伝わってきたことである。これには,今まで精神医学史関連の問題については発表の場があまりなく,意見を交換する場も限られていたことも関係しているように思われた。
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