巻頭言
大学院制度について
白石 博康
1
1筑波大学臨床医学系
pp.792-793
発行日 1995年8月15日
Published Date 1995/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903921
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基礎医学分野における研究の著しい進歩は,今更言うまでもなく誰もが認める現象であると思われるが,筆者はこのことをことさら身近に感じるようになった。その要因の1つとして大学院の存在がある。筑波大学の創造活動の活性化を実現するための学長諮問委員会として21世紀大学創造委員会が1993年10月に設置され,21世紀の大学のビジョンが提案された。この改革の提案の1つに“大学院の重点化”の項目があり,その基本方針および現状として,「本学は,教育面の充実に配慮しつつも,総体的には研究志向型総合大学を目指す。言い換えれば,新しい知識の創造を担う学問分野の格段の拡充を図り,あわせて国際的視野で社会貢献のできる人材の育成に努めることが,これからの本学のとるべき道である」とある。要するに大学の研究・教育の重点を大学院に置くということであり,具体的には研究科を教員組織の基本単位とし,教員は原則として,いずれか1つの研究科に所属するように改革するというものである。これはいわば研究至上大学を作るということであり,このような動きはすでに全国的なものと思われる。
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