巻頭言
知識の透過性
佐藤 甫夫
1
1千葉大学医学部精神科
pp.230-231
発行日 1995年3月15日
Published Date 1995/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903832
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最近学際的な研究が盛んになり,精神科領域も例外ではない。学際的とは,いくつかの専門領域に関係しているということである。専門領域とは何かというと,歴史的現実として,ある程度他と区分されている人々の,作業領域や対象に関して必要な系統的な知識の集合と定義できるであろう。精神科も一つの専門領域であるし,またもう少し区分して,さらにいくつかの専門領域を考えることもできるであろう。いずれにしても,学際的な事柄になると,ある領域から,他の領域への知識の伝送が必要になり,この時知識の透過性(transparency)が問題になる。
専門領域の知識は,これを理解するのに相当の予備知識を必要とする。一般的予備的なものから,高度の専門的知識に至るまで,階層的な構造をとっている。専門家は,必要に応じ関連する知識を編集して課題の解決に用いている。しかし,他の専門領域のことになると,事情はやや異なる。他の領域へのアクセスはだんだん容易ではなくなってきている。あたかも異なったコンピューター間の通信に似たところがある。
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