巻頭言
「なぞる」ということ—面接の基本に関する一工夫
下坂 幸三
1
1下坂クリニック
pp.1232-1233
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903777
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面接の心構えとして膳炙しているものとして,「関与しながらの観察」(サリヴァン),「平等に漂う注意」(フロイト),「共感的態度」(ロジャーズほか)などが挙げられる。しかしこれらの態度を日常臨床のなかにもち込むことは決してやさしいことではない。
精神科医である以上,誰でもが薬物療法と精神療法とを相当程度まで会得する必要がある。薬物療法を敬遠する人はあまりいないであろうが,精神療法を敬遠する人はいる。それにはいろいろな理由があろうが,一つの理由は,このやり方なら自分にもできるといった思いを抱かせる精神療法の入門書が皆無に近い注)からではなかろうか。
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