Japanese
English
研究と報告
一酸化炭素の慢性被曝の関与が考えられた初老期発症痴呆の1例
A Case of Yuvenile Senile Dementia concerning to Chronic Carbon Monoxide Poisoning
中島 公博
1
,
渡部 正行
1
,
中野 倫仁
1
,
石垣 博美
1
,
池本 真美
1
,
川崎 峰雄
2
,
高畑 直彦
1
Kimihiro NAKAJIMA
1
,
Masayuki WATANABE
1
,
Norihito NAKANO
1
,
Hiromi ISMGAKI
1
,
Mami IKEMOTO
1
,
Mineo KAWASAKI
2
,
Naohiko TAKAHATA
1
1札幌医科大学神経精神科
2あしりべつ病院
1Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Sapporo Medical College
2Ashiribetsu Hospital
キーワード:
Carbon monoxide poisoning
,
Brain damage
,
Dementia
Keyword:
Carbon monoxide poisoning
,
Brain damage
,
Dementia
pp.963-968
発行日 1994年9月15日
Published Date 1994/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903730
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【抄録】 一酸化炭素の慢性被曝の関与が考えられた初老期発症痴呆の1例を経験した。症例は51歳女性で人格変化を伴う痴呆と意欲低下,情動鈍麻などの症状によって特徴づけられる。4年にわたる臨床経過と検査結果から,症状は進行性ではなく,脳MRIでの萎縮性変化と多発梗塞巣ならびに脳SPECTでの後頭頭頂葉,側頭葉の集積低下などの所見は経時的変化に乏しかった。また発症以前の家庭状況から,自宅のボイラーの不完全燃焼があり,同時期に一致して患者同様,家族にも頭痛,めまいなどの症状が存在していた。診断としては多発梗塞性痴呆,アルツハイマー型痴呆が疑われたが,積極的に支持する要素に乏しく,一酸化炭素の慢性曝露により,精神神経症状が何らかの修飾を受けた可能性を考えた。慢性一酸化炭素中毒の臨床報告例はなく,臨床例の蓄積が望まれるが,このような視点から検討することも必要ではないかと考えられる。
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